今晩の日経夕刊「十字路」。懐かしい吉田春樹センセーの寄稿。吉田春樹が書いた1987年の『米国産業の実力』が今だなお読まれるべきだという。
この本は当時けっこう話題となったので、おいらも読んだ:
アメリカの産業はダメ、ニッポンが勝つという、興銀産業調査部を動員した「星取り表」を使った「分析」。ウヨだったおいらも当時、この本を読んでいてとっても嬉しくなってしまった。
その後の経過はご存じの通り。吉田春樹の予測は全くはずれ、日本産業は見事に負けてしまった。でもいま吉田春樹は、1987年当時の予測は見事に外したが、2009年移行の展開はその予測通りになると。エコノミストは無責任なのだ。
重要なことを看過している。米国がすでに製造業を見捨ててから30年以上。製造業が未来を決するとはさらさら思っていないのである。イギリスはもっと前から製造業を見捨てた。アングロサクソン国でのサービス業へのシフトは国家的戦略だったのである。ライオンの食い残しであるところの製造業の「星取り表」をいくら吟味していても、国の総合経済力の分析には全く無意味だ。
西欧でサービス・金融業が今一時的にダメになっているから、ニッポンはせめて十八番の製造業で復権しようというのわからないでもないけれど、果たしてどうか。いまニッポンが製造業で相手にしなくてはならない国は、アメリカやヨーロッパではない。中国なのだ。
既得権労組によって根源的なダメージを受けてしまった欧米の製造業とは違い中国の製造業は欧米以上に市場経済的。中国製造業を相手に、果たしてニッポンの戦後の労使一体の家族的戦略は通用するのか。いまだに農村地主の既得権益に振り回されて飛行場の建設すら意のままにならないニッポンである。甚だ疑問。
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